事業の資金が不足してくると、融資を受けたいと考える人が多いでしょう。しかし、お金を借りる前に行える対策はいろいろと存在します。そのなかでも特に有効なのは先払い、後回収を減らすことです。
業種や扱っている商品などによって異なりますが、たいていのビジネスは先払いと後回収によって成立しています。これは回収する前に支払いを済ませるという構造であり、実質的に売上が手元にない状態をつくってしまいます。
つまり、帳簿上はプラスになっていても、すぐ使える資金に関してマイナスになっているのです。その結果、お金を借りることになり、それが習慣化することで負債が膨らんでいきます。これでは資金繰りが良くなるはずもなく、別の方法に切り替えることが不可欠です。
お金を借りることを諦めても、先払いと後回収を減らすだけで手元に資金が残りやすくなります。もちろん取引先の要望も考慮する必要があるため、自分の独断では決められない場合もあるでしょう。取引先に事情を話したうえで了承してもらうことも重要な条件になります。資金繰りに困っている取引先の場合、受け入れてもらえない可能性もありますが、融資を検討するのはそれが分かってからでも遅くありません。
取引の停止も有効な施策
お金を借りること以外の資金繰り改善の施策として取引停止が挙げられます。そう言われると、収入が一気に減ってしまい、さらに苦しい状況になるような印象を受けやすいです。
しかし、運転資金に着目するとそのイメージは変わります。最も重要なのは、取引の金額に取引の回数を乗じることにより運転資金が決まることです。
この期間とは支払いや回収にかかる日数を指しています。
たとえば、回収までに2カ月を要するなら、売上原価の倍に相当するお金が先に支払われているということです。この間は資金がショートしやすくなるので注意しなければなりません。
しかし、最終的に利益を得られるなら、取引は継続すべきと考える事業主も多いです。お金を借りるという選択をしてでも、その方針を貫く傾向が見受けられます。
とはいえ、本当に資金繰り改善を望むなら、必ずしも賢い選択とはいえません。取引を停止するだけで、支払っていた金額が手元に残るようになる点を重視しましょう。
上記の期間が長いほど、その恩恵は大きくなりますし、お金を借りることも考えなくて済みます。現状の取引先の祖利率を明確にしたうえで、取引を続ける基準を設けて停止の判断をすることが大事です。